neputa note

2015年03月の記事

img of 『わたしを離さないで』 カズオ・イシグロ 【読書感想】
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BOOK

【ネタバレを含む】優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話係。生まれ育った施設の親友トミーやルースも提供者だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度…。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく

img of 『白い夏の墓標』帚木蓬生~細菌研究を巡るミステリ~【読書感想】
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BOOK

あらすじ ~パリで開かれた肝炎ウィルス国際会議に出席した佐伯教授は、アメリカ陸軍微生物研究所のベルナールと名乗る老紳士の訪問を受け、かつて仙台で机を並べ、その後アメリカ留学中に事故死した親友黒田が実はフランスで自殺したと告げられた。死の謎は真夏のパリから残雪のピレネー、二十数年前の仙台へと遡る。抒情と戦慄のサスペンス。

img of 『ストーナー』 ジョン・ウィリアムズ 【読書感想】
27 min read
BOOK

あらすじ 農場で働く両親の元で生まれ教師となり、妻と娘を家族に持ち、病気で死んでいったある男の一生を語る一作。読み進むに連れ、表紙の臙脂色はかつてストーナーが生まれ育った農場の土と、そしてタイトルの銀色はストーナーの灰色の瞳と重なっていった。本書は隅々までが「ウィリアム・ストーナー」という男の人生に満ちている。

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