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Netflixオリジナルドラマ『13の理由』のススメ【ドラマ感想】

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シーズン1について

アメリカのハイスクールに通っていた少女「ハンナ・ベイカー」は、青春時代のさなかに自らの命を絶ってしまった。彼女は自殺にいたる「13の理由」をカセットテープに録音し、それを友人に託してこの世を去った。

シーズン1では、(とくにアメリカ)で大きな反響を呼び話題となったそうだ。

実際にアメリカのハイスクールで起きている数多くの現実を盛り込んだ内容は、多くの視聴者から反響を呼ぶこととなった。制作側は寄せられる視聴者あるいは実際に苦しんでいる者たちの声を受け止めるべく、窓口となるサイトを用意するにいたった。

この作品はただのフィクションとして語られる作品から、現実社会へ深くリンクする作品へと変貌を遂げた。続編を作るにあたり、制作サイドはさらなる慎重さを求められることになったであろうことは想像に難くない。

若者の自殺と直面し、その後残された人々は何を思うのか、社会にどのような影響を与えるのか。世界中から大きな注目を集めることとなった番組制作者たちは、わたしたちにどのような回答を示すのか、そこに注目してシーズン2を視聴することとした。

シーズン2について

制作サイドはさまざまな配慮を施していた。

おそらく多くのティーンエイジャーが視聴することを想定し、過剰に感情移入した視聴者がいじめ役の俳優に対し悪感情をいだき過ぎてしまわないよう、出演者による呼びかけを冒頭に流す演出をほどこすなど。

シーズン2は、ひとりの若者による自殺が、残された者たちや社会に、どのような影響を与えたのかを観測する物語だ。遺族となった両親は離婚し、母親は学校に対し裁判を起こす。同級生たちはそれぞれに悩み、開き直るもの、良心の呵責に苛まれるものとさまざまだ。

個人的な結論として、若者たちにはどんなに追い込まれても生きること、誰かを頼ることを示し、どれだけの悲劇が起こっても変わることのない社会(大人たち)へ避難の声をあげている、それがこのシーズン2で示された答えだと受け止めた。

若者たちと大人たちの深い溝について

世代ごとに視点は異なるだろう。はるか昔に青春時代を終えたわたしは、物語で繰り返し描かれる若者たちと大人たちの深い溝について深く考えさせられることとなった。

わたし自身も十代のころには大人に対する不信感を根強く抱いていた。だが振り返ってみてもいまだ理路整然と説明できる根拠は見つからない。ただただあふれ出る怒りや不満を抑えきれずにいたのだ。

人生経験が足りずわがままなだけだ、と言えばそのとおりなのだが、そんな彼ら彼女らに対し、いまの自分はどう向き合えばよいのだろうか。いま現在、自問が続いている。

未熟であることは責めるに値しない。なぜなら成長の途上にある者たちに対し、成長後の成果をその場で求めてしまうのならば、教育の存在とはなにかという話になる。

寄り添う、相手の気持ちになる、表現はさまざまだ。結局そこがもっとも大切であり、軽んじられてしまうことなのだろう。苦しいけどそれをやり過ごす術を知らずやりきれない、その状態をどれだけ想像できるか、そして同様の状態だった自分を思い起こすことができるか。忘れてしまわないよう、しっかりと肝に銘じておこうと思う。

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